ASTRA HOUSE(アストラハウス)

書籍

アウシュヴィッツの小さな姉妹

タチアナ&アンドラ・ブッチ 著/丹羽秀文(にわ・ひでふみ)訳
定価(税込) 1,900円(本体1,728円+税)
ISBN978-4-908184-33-8 C0098

2021年12月24日発売

内容紹介

「アウシュヴィッツの不条理で常に死と隣り合わせの恐ろしい日常に浸りきり、受け入れることで、私たちは生き延びようとしたのです。」
――タチアナ&アンドラ・ブッチ

ヨーロッパ全土から21万6千人の子どもがアウシュヴィッツに移送されたが、解放時に生き残ることができたのは451人。その中には、4歳と6歳のアンドラとタチアナ・ブッチの姿もあった。 (※アウシュヴィッツへ送られた子どもの人数と解放時の生存者の人数の出典:Holocaust Encyclopedia, USHMM)

1944年4月4日、アウシュヴィッツ・ビルケナウ絶滅収容所に到着したイタリア系ユダヤ人の6歳の姉タチアナと4歳の妹アンドラは、最初の選別をくぐり抜け、子ども用バラック「キンダーブロック」に収容される。その後、ナチスによる人体実験のモルモットになる運命から奇跡的に生き延び、1945年1月27日に解放を迎える。だが、姉妹のアウシュヴィッツはまだ終わらない。

推薦・書評

「生き延びたブッチ母娘の記録は、アウシュヴィッツで起きた出来事を次の世代に伝えるための力強い貴重な証言です」
――ホロコースト記念館 館長 吉田明生

「ブッチ姉妹がアウシュヴィッツで経験したことが、6歳と4歳だった当時の目線で、等身大に書かれています。戦後の自伝物には、あとづけの知識で書かれたものが見受けられますが、本書は子どもの視点で当時の状況をリアルに記述しています。それがこの本の魅力でもあります」
――ホロコースト記念館 学芸員・理事 今井市郎

「家族の記憶、アウシュヴィッツへの強制送還、いとこの死、解放、アンナ・フロイトのイギリス・ロンドンのリングフィールド・ハウス寄宿学校、そして証言。この本の中には、生きた言葉、勇気、夢、そして今でも多くの人の頭から離れない悪夢を通して、ブッチ姉妹の物語が描かれています」
――イタリア最大部数の日刊紙「ラ・レプッブリカ」2019年1月15日

「アウシュヴィッツに収容された23万人の子どもたちのうち、生き残ったのはわずか700人だった。その中には、4歳と6歳のアンドラとタチアナ・ブッチの姿もあった。彼らの物語は本になり、1月27日の国際ホロコースト記念日に出版される予定です。この本は、どんな悲劇を目にしても『泣かなかった』2人の子どもの目を通して、ホロコーストの真実を語ります」
――「ELLEイタリア版」2019年1月17日

「アウシュヴィッツから帰還した少女、アンドラとタチアナ。リエカ出身のブッチ姉妹は、収容所の恐怖を体験し、今ではその記憶と証言の義務を守り続けています」
――イタリア・トリエステの日刊紙「イル・ピッコロ」2019年1月21日

目次

日本の読者のみなさんへ
おもな家族の年表
私たち姉妹のファミリーヒストリー
アウシュヴィッツーー死があたりまえの日常
帰国への長い道のり
帰国、家族が一緒になる
アウシュヴィッツの真実を話し始める
解説 アウシュヴィッツーーホロコースト記念館 館長 吉田明生
   ナチスによるホロコーストーーホロコースト記念館 学芸員・理事 今井市郎

著者紹介

タチアナ&アンドラ・ブッチ(Tatiana & Andra Bucci)

タチアナ・ブッチ(1937年9月19日生まれ。現在ベルギー・ブリッセル在住)とアンドラ・ブッチ(1939年7月1日生まれ。現在アメリカ合衆国・カリフォルニア州在住)は、イタリア系ユダヤ人。

アウシュヴィッツの最も若い子どもの生存者のひとり。アウシュヴィッツでの体験を綴った回想録の著者。今日、ホロコーストについて最も影響力のある証人のひとりでもある。2020年1月24日、イタリア・トリエステ大学より外交・国際協力の名誉修士号を授与される。

1944年3月、タチアナが6歳、アンドラが4歳のとき、母親、叔母、祖母、いとことともにナチスに逮捕され、アウシュヴィッツに移送される。1945年1月27日解放。その後は、難民としてチェコスロバキア・プラハ、イギリス・ロンドン近郊のリングフィールドで孤児として過ごしたのち、1946年12月イタリアへ帰国し両親と再会。戦後、アウシュヴィッツでの体験について、互いに長い間沈黙を守っていたが、戦後50年目を境に自身の体験を証言し始める。

1995年以降、学生グループなどを引き連れて、23回にわたってアウシュヴィッツを訪問。また、イタリア各地の小学校の生徒や数千人の聴衆を前に講演を行う。

アンドラとタチアナの物語は、2018年に出版された本書“Noi, Bambine ad Auschwitz(邦題:アウシュヴィッツの姉妹)”の他、2018年に制作されたアニメーション映画“La Stella di Andra e Tati(アンドラとタチの星)”、2019年のドキュメンタリー映画「#アンネ・フランク 時を越えるストーリー(#AnneFrank Parallel Stories)」(同時期アンネ・フランクもアウシュヴィッツ・ビルケナウに収容されていた)で描かれている。

タチアナのタトゥー番号:76484 アンドラのタトゥー番号:76483

アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所に収容されていた21万6,000人の子どものうち、生き残ったのはタチアナとアンドラの姉妹を含め451人※。
(※出典:Holocaust Encyclopedia, USHMM)

翻訳者紹介

丹羽秀文(にわ・ひでふみ)

1975年生まれ。翻訳家。
第23回いたばし国際絵本翻訳大賞コンクールにて、イタリアの絵本“Che cos’è un bambino?”でイタリア語部門特別賞を受賞。

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