ASTRA HOUSE(アストラハウス)

書籍

父のところに行ってきた

申 京淑(シン・ ギョンスク) 著 / 姜 信子(きょう・のぶこ)・趙 倫子(ちょ・りゅんじゃ) 訳
定価(税込) 2,640円(本体2,400円+税)
ISBN978-4-908184-50-5

2024年4月18日発売

内容紹介

世界4 1カ国で2 5 0万部超え! マン・アジア文学賞受賞の名作『母をお願い』の申京淑、待望の新作

父は、泣く。父は、彷徨う。父は、怯える。父は、眠らない。父に寄り添う暮らしは、思いがけないことばかりだった。「私」は思う。いったい父の何を知っていたというのだろう。

主人公の「私」は中学生の一人娘を事故で失い、かたくなな心を持て余している孤独な女性作家。高齢の母がソウルの病院に入院したため、故郷に一人暮らしとなった父の世話を兄弟たちに頼まれ、老いた父に向き合うことになる。「アボジ(お父さん)」と呼びかける父は一九三三年生まれ。植民地期、朝鮮戦争、南北分断、軍事独裁、民主化抗争といった朝鮮半島の激動の時代を生きてきた。
「苦難の時代を生きた」人、「もし、いい世の中にめぐりあっていたなら、もっといい人生を生きることができたであろう」人……。そんな「匿名の存在」に押し込めて過ごしてきた父に、あらためて寄り添い、「私」が分け入っていく父の記憶のひだ、父の人生の物語。
「極めて個別の父」を描きながら、読み手の胸を震わせ目頭を熱くする「普遍の父」とは。



著者紹介

申 京淑(シン ギョンスク)
1963 年、全羅北道井⾢市⽣まれ、ソウル芸術⼤学⽂芸創作科卒。22 歳で⽂壇デビュー。詩的で独特な⽂体で⼈気を博し、韓国⽂学を牽引する作家となる。李箱⽂学賞、現代⽂学賞、万海⽂学賞、東仁⽂学賞など受賞多数。2008 年に発表された『⺟をお願い』(安 宇植 訳、集英社⽂庫)は、世界 41 カ国で出版され、252 万部の⼤ヒットとなった。2011 年、同書でマン・アジア⽂学賞受賞。そのほかの邦訳作品に『離れ部屋』(安 宇植 訳、集英社)、津島佑⼦との往復書簡集『⼭のある家 井⼾のある家』(きむ ふな訳、集英社)、『⽉に聞かせたい話』(村⼭俊夫 訳、CUON)、『オルガンのあった場所』(きむ ふな 訳、 CUON)などがある。                                 

翻訳者紹介

姜 信子(きょう・のぶこ)
1961年、横浜生まれ。『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『現代説経集』(ぷねうま舎)、『はじまれ、ふたたび』(新泉社)、『語りと祈り』(みすず書房)など著書多数。共著に『忘却の野に春を想う』(白水社)など。編著に『谺雄二詩文集 死ぬふりだけでやめとけや』(みすず書房)、『金石範 評論集I・II』(明石書店)、『被災物 モノ語りは増殖する』(かたばみ書房)など。訳書に『あなたたちの天国』(李清俊 みすず書房)、『モンスーン』(ピョン・ヘヨン 白水社)、詩集『数学者の朝』(キム・ソヨン CUON)、監訳に『奥歯を噛みしめる』(キム・ソヨン かたばみ書房)などがある。

趙 倫子(ちょ・りゅんじゃ)
1975年、大阪府大東市生まれ。韓国語講師。パンソリの鼓手および脚本家。創作パンソリに「四月の物語」」「ノルボの憂鬱」「海女たちのおしゃべり」など。共訳に『海女たち』(ホ・ヨンソン 新泉社)、『たそがれ』(黄晳暎 CUON)がある。


 

PageTop